「寄生獣」の原作・岩明均の怪作漫画を、「ガンニバル」のディズニープラスが実写化。
この記事の前半はネタバレなし、後半はネタバレありでレビューします。
2024年公開 全10話のシリーズ『七夕の国』はSF、ミステリーの入り混じった壮大なドラマです。
主人公は細田佳央太、ヒロインに藤野涼子と新進気鋭の俳優を起用し、物語のキーマン役で山田孝之、三上博史など豪華キャストも出演しています。
メモ
現在のディズニープラスの月額料金は990円(税込)です。
年額プランは実質2ヶ月無料でお得!
あらすじ
あらすじ・見どころ
ある日、ビルや人が、謎の“球体”にまるくエグられた——
役に立たない“超能力”をもつ平凡な大学生ナン丸は、この怪事件の真相解明に巻き込まれある閉鎖的な町を訪れるが、そこで自分が、この町に先祖をもつ“球体を操る能力者”だと知る。
「事件と同じ力が、なぜ俺に?」
さらに町に隠された“3つの謎”と、球体で連続殺人を繰り返す男が、ナン丸の運命を狂わせる。やがて、すべての謎は一つの衝撃的な答えに…。
この夏、日常をエグる、不気味な超常ミステリーが始まる。<ディズニープラスより引用>
ストーリーの序盤
一気に10話までみました。話に推進力があってわりと一気に見ることができました。
あまりネタバレにならないように序盤についてレビューします。
まずは冒頭、戦国時代の里での戦いが描かれます。映像も綺麗で迫力のある絵作りでこの謎が現代につなががるのかとワクワクします。
主人公は、紙がガラスコップに小さな穴を開ける〈超能力〉が使える大学生・ナン丸。
民俗学の教授・丸神に呼び出されたナン丸だったが当の教授はなんと行方不明だという。
大学4年生だが自身の将来について何も考えていない主人公・ナン丸。唯一自分にしかない個性である〈超能力〉を使って何かをしたいと漠然と思っているだけのその姿に共感しながら見るか、イラつきながら見るかでドラマの面白さが違うかもしれません。
その後流されるように、教授が消息をたった「丸神の里」へ赴きその閉鎖的な町の住民や祭りに深く関わっていきます。
排他的なそぶりを見せる町の人たちがナン丸が「丸神の里」の血縁者であることがわかった途端チヤホヤしだしたり、ヒロインが“手がとどく者”“窓を開いた者”という能力者の話をしだしたり、祭りの最中は丸神山の山頂は立ち入り禁止にされるなど、ジャンルでいう因習村的な要素が盛りだくさんでこのあたりから不穏な感じが漂ってきます。
また、「丸神の里」では球体で抉られたような跡のある殺人事件が発生していて、「丸神の里」出身者が能力を悪用しているのだろうと想像させます。
このように序盤はさまざまな謎がでてきますが話じたいは大きく動きません。すべての状況や登場人物の人物像をしっかり描かれるのでミステリーにありがちな、見ていて「登場人物の顔と名前が一致しない」「主人公が何をしているのかわからない」などで混乱することはないと思います。
そしてこの序盤の謎について登場人物それぞれの立場や想いが絡み合い物語が盛り上がっていきます。人物の描写がたっぷり描かれたことでちょっとした出来事も視聴者には多角的に見えてきます。
謎解きや超能力シーンや後で出てくるバトルシーンなど見どころはたくさんありますが、この作品のポイントは「人物の描写」でしょう。いろんな人物の想いに共感したり納得できないと感じたりしながら楽しんでほしいと思います。
すでに見た人用のネタバレ含む感想
ここからは全10話見た人ならわかる感想を。見ていない人には説明不足すぎる文章となっています。
ストーリー全般を通して大きな事件は起きていますが、主人公はずっと自分探しをしている状態。
自分と同じ能力をもった人物が殺人事件を起こしているのに「能力」に疑問や恐怖を感じないあたりはのほほんとしすぎだし、自分が犯人として通報されたり捕まったりするといった事に想像がいかないあたりは(仲間も含めて)疑問でしかありません。
それは丸神の里の人たちも同様で「自分たちの今までの習慣を変えたくない」「教えを守って受け継いでいくことが全て」で里の外には全く関心がありません。東京がどうなろうと、何人人が死のうと他人事です。
これは原作漫画の時代にSNSが発達していなかったことも原因かもしれません。今の時代であれば都知事選の選挙戦から結果まで東京とは関係ない田舎の人もリアルタイムで詳しく知っています。ドラマのように国会議員や都庁や多くの民衆が被害に遭えばいくら「丸神の里」だけで完結している人たちでもあそこまで無関心ではいられないと思います。
もしくは「知っていても無関心」という描き方であればもっと「丸神の里」が怖く感じれてよかった気がします。
人物の描き方が丁寧でいいということを書きましたが、私的に気に入ったキャラクターは
能力開発セミナーの八木原を演じる芸人のはんにゃ金田。あの胡散臭さは最高。さすが大河俳優です。
幸子のお兄さんもいい。高圧的で小悪党な感じが嫌われキャラっぽいんだけど、ナン丸に能力を教えているシーンは楽しそうで優しいお兄ちゃんだし頼之の後を追いかける態度も可愛らしい。本来、町の嫌われ者が散々好き勝手やって死に際にいい人ぶっても白けるだけだですが、人物に深みがあるおかげで最後に幸子に懺悔するシーンも納得できたし、幸子の慟哭もグッときました。
ナン丸はいい人なんだが、ふわふわしていて底が浅い頼りない人物。自分から事件を解決しようと頑張るでもなくだからといって無関心でもなく「僕にできることはしてあげよう」という優しいいい人。
閉鎖的な町で“窓を開いた者”の能力により常に不安な気持ちを抱える幸子にとって、常に明るく楽観的で前向きなナン丸はイライラすると同時にホッとする人物にみえたでしょう。
ミステリ好きならば探偵役の主人公とともに謎解きをするところがドラマを見る楽しさになっていると思います。しかし、『七夕の国』の謎解き役は大学の民俗学のゼミのメンバーの役割となっています。つまり主人公向きなのは
謎解きなら丸神正美
能力バトルならば頼之
閉鎖的な里ならば幸子
でありナン丸はどれにも当てはまりません。
では『七夕の国』の主人公はなぜナン丸なのでしょうか。
それはナン丸が色んな立場の人とフラットに付き合える人物だからかもしれません。
謎解きに協力はするが興味はなく、丸神の里の縁者ではあるが里に取り込まれることはなく、能力が開花していくことに喜びを感じたけれども疑問を感じ封印した。そしてあの楽観的な性格でみんなの気持ちを解きほぐし決して深入りはせず最後の頼之の説得もパッションで乗り切る。
なにも解決をしない主人公だからこそ、それぞれの人物たちが自分で納得のできる結末を迎えることができたのではないでしょうか。
そういう意味で丸神山が元通りになるラストはよかった。いろんな事件がおきたけれども結果なにも変わらない事の象徴のようです。
日本全体で見れば東京で大虐殺が起きたなのだが、最終回では東京に日常がもどっているし、丸神の里の問題は里の中だけで完結している。
現実的に考えれば東京に大穴が空いた時点で「えぐり魔教」とかの新興宗教ができてそうですけどね。
メモ
現在のディズニープラスの月額料金は990円(税込)です。
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